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そは暗きみどりの空に

むかし見し幻なりき。

青き花

かくてたづねて、

日も知らず、

また、夜を知らず、

国あまた巡りありきし

そのかみの

われや、わかうど。


そののちも人にうとまれて、

微妙(いみじ)くも奇しき幻、

ゆめ、うつつ、

香(か)こそ忘れね、

かの青き花をたづねて、

ああ、またもわれはあえかに

人の世の

旅路に迷ふ。


北原白秋「邪宗門」より


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2012.05.26 Comment:0 | TrackBack:0

 おお、やわらかい褥のなかより

 夢みつつ、なかば耳を傾けよ。

 私の奏ずる絃のしらべに

 眠れよ。さらに何を望もうとするのか。

 
 私の奏ずる絃のしらべに

 星々の群は
 
 永遠のおもいを祝福する。

 眠れよ。さらに何を望もうとするのか。

 
 永遠のおもいは

 いや高く、神々しく

 私を現世の喧騒の巷よりたかめる。

 眠れよ。さらに何を望もうとするのか。


 現世の喧騒の巷より

 きみは私をつれなくも隔て、

 私をこの冷気のなかへと遠ざける。

 眠れよ。さらに何を望もうとするのか。


 私をこの冷気のなかへと遠ざけ、

 ただ夢のなかで耳をかす。

 おお、やわらかい褥のうえに

 眠れよ。さらに何を望もうとするのか。


 ゲーテ



(マックス・ピカート著/佐野利勝訳『沈黙の世界』「詩と沈黙-例-」の引用より)
2012.04.29 Comment:0 | TrackBack:0
 
 遠い以前に亡びた諸民族の歌の中から

 今もときどきわれらの心に親しい調子が鳴りひびき
 
 そのためわれわれは驚かされ、なかば切ない心もちで

 その歌に聴き入るのだ、ふるさとがそこにありはしないかと。


 そのようにまたわれら自身の心臓の鼓動が

 世界の心臓と密に結びついて、

 われらの眠りと覚醒とを

 日と星との運行に調和させるのも、その世界の心臓なのだ。


 そしてわれらの最も荒い意欲のどんよりした潮も、

 われらの最も不敵な空想の炎も

 あの、決して休まぬ本然の霊から生まれるのだ。


 それゆえにわれらは手に炬火(たいまつ)を持って行く、

 太源の聖なる火から生まれて養われたわれわれは

 永劫に新しい星々に向かって進んでゆく。



『ヘッセ詩集』(片山敏彦訳/みすず書房)より
2012.02.14 Comment:0 | TrackBack:0
 
 何だかわからないというのは、無のようなものではなくて、
「ほとんど無」のようなものである。

不在という現前、もしくは現前する不在である。
それゆえ、それは偏在しているものである。

それは、不可解なほどいたるところにあるのだが、
いかなる場所も占めてはいない。

それは、近くて遠いもの、
此処にして他所にあるもの、
それ自身にしてそれとは別のもの、
今にしてもっと後のものでもある。

これにたいして、一義的で曖昧さのないものは、
ある種の自己中心的な視点に関連していて、
ただあるかないかだけ、ただ現実か未来かだけのことであって、
総じてそれ自体、非―存在や他性とまるで交わるところがない。

(中略)

 何だかわからないものとは、また、
いつだかわからないということである。

たとえば、わたしたちが定義しようとしている魅力[charme]は、
いつも不在でどこか他所にあるというばかりでなく、
さらにいつも決まって遅れてやってくる。

それは、いまだあらずであって、無限に先送りされる。

それは、やがて二十四時間のあいだに今日となるであろう
経験的な明日なのではない。

それは、際限なく繰り返される明日であって、
今なのではない。


(中略)


 何だかわからないもの、それは平和の状態である。

それは、武装した休戦なのでも、宙吊りの敵意なのでもない。

そうではなくて、怒りと争いの季節を終結させる
穏やかな恩寵[grace]である。

かくして、魅力のカタルシスによって和らぎ弛緩した
思慮深い魂は、他者と、そして自己とを和解するのである。




ウラジミール・ジャンケレヴィッチ著
『何だかわからないものとほとんど無』の一節
(岡田温司『半透明の美学』より)
2011.12.31 Comment:0 | TrackBack:0
貴重な笑いの遺産

土佐の明るい風土と

暮らしの中から生まれた

おどけ者たちよ

型破りな個性の持ち主

破天荒な言動で人々の

目や耳を驚かし

笑いを誘い、町や村の

人気者に祭りあげられた

 
 いごっそう・どくれ・

 ひょうげ・そそくり
 
 とっぽーこき・いられ
 
 ろっぽーすけ・のかな奴

 おっこうがり・ハイカラ
 
 てんぽのかあ・ちゃちり


数えあげればキリがない。


愛すべきおどけ者たち。

彼らのユニークな人生行路を

のちの世まで語り継ぐのが

私たちの大切な使命なのだ。





市原麟一郎
(高知県立文学館「よみがえれ 土佐の民話」展示より)

2011.11.22 Comment:0 | TrackBack:0