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 私と自然との間からしだいに距離が失われ、

私の感官は自然の感触と

その生命によって充たされている。

私はそれに直接不安ではなかったが、

やっぱり麦畑の丘や原始林の小暗い下を

充ちたりて歩いているとき、

ふと私に話しかける私の姿を木の奥や

木の繁みの上や丘の土肌の上に見るのであった。

彼らはつねに静かであった。

言葉も冷静で、やわらかかった。

彼らはいつも私にこう話しかける。

君、不幸にならなければいけないぜ。

うんと不幸に、ね。

そして、苦しむのだ。

不幸と苦しみが人間の

魂のふるさとなのだから、と。



坂口安吾「風と光と二十の私と」
『坂口安吾集』(集英社)より

2009.10.29 Comment:0 | TrackBack:0
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