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「これだけは教えて。もしも、秘密でないことだったら。

 光以外に大きな力というと、ほかに、どんなものがあるの?」


「それだけだったら、秘密でもなんでもないよ。

 どんな力も、すべてその発するところ、
 
 行きつくところはひとつなんだと思う。

 めぐってくる年も、距離も、星も、ろうそくのあかりも、

 水も、風も、魔法も、人の手の技も、木の根の知恵も、

 みんな、もとは同じなんだ。

 わたしの名も、あんたの名も、太陽や、泉や、

 まだ生まれていない子どもの真(まこと)の名も、

 みんな星の輝きがわずかずつ

 ゆっくりと語る偉大なことばの音節なんだ。

 ほかに力はない。名まえもない。」


「死は?」

彫りかけの木箱のふたにナイフを休めて、ウミガラスがきいた。

 少女は黒髪のつやつやに輝く頭を低くたれて、ゲドの返事を待った。


「ことばが発せられるためにはね、」

ゲドはゆっくりと言った。

「静寂が必要だ。前にも、そして後にも。」




ル=グウィン『ゲド戦記1 影との戦い』(清水真砂子訳/岩波書店)

2010.04.13 Comment:1 | TrackBack:0
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