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(つづき)

 古い歌に歌われた、花のように輝き燃える
 力強い銀の星を見た人こそが、
 空の星を見るのだ。その歌の
 名残のこだまを、人は
 追い求めてきた。神話が織りなし、
 妖精が宝石をちりばめ飾った
 空の天幕がなかったら、
 大空は無く、空虚があるのみ。
 大地もない、命の源である母の胎(はら)がなかったら。
 人の心は嘘でできているのではなくて
 全知の神からいくばくかの知恵を仰いだものとして、
 いまもなお神を想いおこす。
 楽園を追われて久しくとも、
 人は堕落しきったものでもなく、まったく変わってしまったのでもない。
 神の恩寵を汚したかもしれないが、被造物の王座を追われてはいない。
 かつてまとうていた王の衣、その破衣(やれい)を、
 世界の主権を、創造という行為を通してまだ持っている。
 巨大人工物など崇めようとは思わぬ。
 人は準創造者、屈折した光、
 唯一の神の純白の光を多様な色に分け、
 無数の組み合わせによって、
 心から心へと伝わる生きたかたちを創る者。
 わたしたちは、世界中の大地の裂け目を
 妖精や小鬼で満たし、大胆にも闇と光から
 神々を創り、神の館を建て、竜の種を蒔いた。


 J.R.R.トールキン『妖精物語の国へ』中
「神話を創る(原題”Mythopoeia”)」より
 (杉山洋子訳・ちくま文庫)
2010.05.27 Comment:0 | TrackBack:0
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